妊娠初期に下痢が続く原因は?気を付けるべき症状とは
妊娠を喜んだのもつかの間、おなかがゆるくなって辛い思いをする人もいると思います。いったいなぜ妊娠初期には下痢が続くのでしょうか。今回はその原因と対処方法について解説します。
目次
妊娠初期に下痢が続く原因
妊娠中の下痢は、ホルモンバランスの崩れと体の冷えが原因であることが多いです。
・ホルモンバランスの乱れ
妊娠すると黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるため、このホルモンが自律神経の乱れを起こし、下痢につながってしまいます。
自律神経に影響がでると腸の働きが過敏になったり、鈍くなってしまったりします。特に、黄体ホルモン(プロゲステロン)は腸の動きを抑制しやすいので、下痢や便秘を繰り返しやすくなるようです。
・体の冷え
体の冷えが原因の可能性もあります。妊娠初期は体が冷えやすい傾向にあります。さらに、ホルモンバランスの乱れによって体温調節がうまくいかなくなってしまうことも、体を冷やすことにつながります。
また、つわりのときは、「食べられるものを食べられるときに食べる」という妊婦さんや、つわりがひどくてアイスだけを食べる妊婦さんも多いのではないでしょうか。それが原因で、栄養が偏ったり、体を物理的に冷やしてしまったりと、冷えを加速させる状態になってしまいます。
下痢が続いたときの対処方法
下痢が続いたときは、ホルモンバランスを整えることが大切です。女性ホルモンの分泌は、脳や神経から指令を受けてコントロールされています。不規則な生活習慣や無理なダイエット、ストレスなど、少しの変化でもホルモンバランスは崩れやすくなってしまいます。
そこで、生活リズムを整えるために、睡眠時間をしっかり確保しましょう。睡眠時間の目安は、1日7時間です。また、体力を回復するためや、栄養不足にならないように、栄養バランスの良い食事を摂ることも大切です。消化が良く、食べやすい食材を中心に取り入れましょう。
また、下痢のときは、無理なダイエットはおすすめできません。ただし、運動をすることで腸の動きが良くなれば、下痢対策に有効です。ご自身の体やおなかの中の赤ちゃんに負担がかからない範囲で行いましょう。
ホルモンバランスを整えるとともに、冷え予防も意識してください。普段からできる方法として、冷えを防ぐためになるべく生姜など温まる食材を摂取しましょう。生姜にはショウガオールという体を温める成分が含まれているため、手っ取り早く体を温めてくれます。
生姜を使った料理を食べるのがいちばん良いですが、食欲がでない場合はスープに生姜を入れるなど、食べられる範囲で生姜を摂取しましょう。
ほかにも、冷え対策のためのアイテムを活用するのもおすすめです。定番のカイロや湯たんぽのほかに、ふわふわの毛糸を使った腹帯や、おなかまですっぽり覆ってくれる妊婦用レギンスなど、冷え対策のアイテムはたくさん出ています。「冷えは妊婦の大敵!」と心得て、万全の冷え対策をして過ごしましょう。
つわりで温かい食べ物や飲み物を受けつけないときも、上記の冷え対策アイテムを使用したり、お風呂に入ったりするなどの外側から体を温める方法で、無理なく対応しましょう。
下痢が早産や流産につながるおそれはほとんどない
あまりにもひどい下痢だと、流産やおなかの赤ちゃんに影響しないかと心配してしまいますよね。しかし、短期間で軽度なら赤ちゃんに直接影響があるわけではありません。
流産に関しても、下痢の症状とはまた違う痛みが生じたり、腹痛や子宮収縮がみられたりしなければ、大丈夫でしょう。人によって痛みの感じ方には差があるので、流産が気になるときは出血などの症状がないか慎重に観察してください。
下痢は一時的なものが多く、症状が下痢だけであれば、胎児への影響は考えにくいため心配し過ぎなくても大丈夫でしょう。ただし、以下のような症状がみられる場合は、感染症などのリスクが懸念されます。状態によっては、赤ちゃんへ影響を及ぼすおそれもあるため注意しましょう。
受診すべき症状とは
以下の症状がある場合は受診しましょう。
腹痛、発熱
腹痛や発熱を伴う下痢の場合は、細菌性感染症やウイルス性感染症の恐れがあるため、早急に受診しましょう。もし本当に感染症なら、周囲の人に感染させない対策を行わなければならないため、早めの受診がおすすめです。
吐き気、嘔吐
吐き気や嘔吐がある場合も注意が必要です。妊娠悪阻という重いつわりの状態になると、脱水症状を起こしたり意識障害を起こしたりする恐れもあるので、少しでも吐き気を感じたら受診しましょう。
冷や汗
冷や汗は貧血のサインです。ただでさえ貧血になりやすい妊娠初期に、冷や汗が続くようなら受診したほうが良いでしょう。
出血
出血の場合は、胃や腸に異常が出ている可能性があります。おしりの肛門の粘膜や皮膚が切れて血が出ているだけなら大丈夫ですが、そうでない場合もあるため、早めに受診しましょう。特に、出血とともに、けいれんのような下腹部痛が起こる場合は、流産の兆候である可能性もあるため、すぐに受診を検討してください。
下痢止めは飲んでも大丈夫?
「妊娠初期はなるべく薬を飲まないように…」と意識している妊婦さんも多いと思います。下痢止めは飲んでも大丈夫なの?と心配になってしまいますよね。
下痢がおさまらないときの下痢止めは、飲んでも胎児に大きな影響を及ぼすとは考えにくいといわれています。もし不安がある場合は、かかりつけの産科に相談した上で下痢止めを処方してもらうのが一番安心です。自分の判断では怖いという方はぜひ担当の先生に相談してみましょう。
悪化する可能性も・・・下痢中にしてはいけないNG行動
下痢が続いているときは、以下のような体に負担がかかる食事は避けましょう。
脂質の多いもの
消化の悪い食べものは下痢が続く時は避けましょう。とくに脂質の多いものは腸を刺激し、下痢が悪化する可能性があります。体調が優れない間は、おかゆや煮込みうどんなど、消化の良い食品を選びましょう。
他にも、油をたくさん使用する揚げ物や炒め物は消化が悪いため、少ない油で作れる方法で調理してください。煮る、蒸す、焼く、ゆでるなどにすることで、油の使用量を抑えられます。
刺激の強いもの
刺激物も同様に腸を刺激しやすいため要注意です。辛いものや炭酸水などはしばらく控えた方が良いでしょう。
食物繊維の多いもの
食物繊維も消化が悪く腸に負担がかかるため、下痢のときは控えてください。
腸に良いイメージの食物繊維ですが、下痢のときは逆効果です。とくに、食物繊維の中でも水に溶けにくい不溶性食物繊維は、腸の動きを促進し、下痢を誘発するので控えましょう。
不溶性食物繊維を多く含む食材は、ごぼうやきのこ類などです。これらの食材は避けて、食物繊維が少ない食材をやわらかく調理して食べましょう。
冷たい飲みもの
下痢によって多くの水分が失われてしまうため、しっかりと水分補給することは大切です。ただし、身体を冷やす冷たい飲み物ではなく、温かい飲み物を選びましょう。
とくに下痢により水分が失われると、脱水症状や電解質異常のおそれもあるので、味噌汁や常温のスポーツドリンクなどで補うのがおすすめです。
反対に、甘味は胃腸に負担をかけるため、砂糖が非常に多く使われているようなジュースはできるだけ控えましょう。
まとめ
今回は妊娠初期の下痢について、その原因と対策を紹介しました。妊娠初期には体にさまざまな変化が起き、不調が続くことも多くあります。おなかの赤ちゃんを守るためにあらゆる変化に敏感になって、不安を抱えながら過ごす妊婦さんも多いですよね。
妊娠初期の下痢にはさまざまな要因が考えられるため、自分でできる対策をしっかり行い、それでも心配な場合は早めに産科を受診しましょう。