産褥期に多いトラブルと過ごし方の注意点
「産褥期」とは?
「産褥期」とは、妊娠・出産で変化したママの身体が回復するまでの期間のことです。分娩時の会陰の切開や帝王切開による身体のダメージも大きいため、この期間は回復に努めましょう。
明確な決まりはないものの、分娩後6~8週間を産褥期と呼ぶのが一般的です。医療用語ではないですが、この期間の女性の身体の状態を示す言葉として、「産後の肥立ち」という表現もよく使われます。
産褥期には、性器の収縮と乳汁の分泌という大きな変化が起こります。
性器の収縮には、子宮体部は6週間、子宮頚部は4週間、腟は3週間程度の時間がかかるのが一般的です。子宮は分娩後、ゆっくりと時間をかけて、元の大きさまで戻ります。回復状況の判断は「悪露」が目安になるため、産後4~6週間は慎重に経過を観察してください。
赤ちゃんに与える母乳は、産後2〜3日ごろから本格的に分泌されはじめます。分娩直後から分泌されるとは限らないので、不安に思う必要はありません。
産後直後から5日頃には黄色っぽい「初乳」が分泌され、その後の移行乳を経て、生後2週間程度が過ぎると白色の「成乳」になります。
産褥期に多いトラブルは?
産褥期は、女性の身体と心の両方にトラブルが起こりやすい時期です。次のような症状に気がついたら、早めに主治医に相談することをおすすめします。
産褥乳腺炎
母乳が排出できないことで起きるトラブルで、乳房の張りや痛み、ひどい場合は高熱がでるため注意が必要です。赤ちゃんに母乳を与えても乳房にしこりが残る場合は、産院を受診してください。
産褥熱
分娩時やそれ以降の細菌感染が原因で起こるトラブルで、38℃以上の高熱が出ます。処置が必要なケースもあるため、分娩から10日以内に2日以上の高熱が続く場合は、すみやかに産院を受診しましょう。
子宮復古不全
何らかの原因で、子宮の収縮が遅れるトラブルです。産後1~2週を過ぎても血が混じる悪露が続く場合は、産院を受診してください。
静脈血栓症
静脈のなかに血の塊、「血栓」ができてしまうトラブルで、血液が流れにくくなります。産褥期は非妊娠時に比べて5〜10倍も血栓ができやすいため、適切な水分摂取を心がけ、適度に体を動かして予防しましょう。弾性ストッキングを着用するのも効果的です。
マタニティブルーズや産後うつ
産褥期は疲労やホルモンバランスの乱れから、心のトラブルが起こりやすいので注意が必要です。マタニティブルーズは、産後の女性の30〜50%が経験をするともいわれています。
マタニティブルーズは産後3〜10日程度で発症し、2週間ほどで軽くなる人が多いです。涙もろさや気持ちの沈み、集中力の低下、不安感、眠れない症状が長引く場合は、受診を検討しましょう。
産褥期の過ごし方のポイント
産褥期の女性はしっかり休んで、身体の回復を第一に考える必要があります。分娩時のダメージだけでなく、赤ちゃんのお世話や母乳の分泌でも身体に負担がかかるため、休めるときに休んで、無理をしない生活を心がけましょう。
家事や育児は完璧にこなそうとせず、家族と協力して上手に休息の時間を取ってください。家事は二の次にして、なるべく家族にお願いしてみましょう。家族が難しければ、家事代行や地域の公共サービスの利用も検討してみると良いかもしれません。
身体の早期回復を促すためにも、バランスの良い食事を心がけることをおすすめします。授乳期は体力の消耗が激しいため、しっかり食事を取って栄養を補給しましょう。産褥期の産後ダイエットはNGです。できるだけたくさんの食材からたっぷりと栄養を摂り、早めに元気を取り戻しましょう。
まとめ
産褥期の女性は無理をせず、身体をしっかり休める必要があります。赤ちゃんが産まれたことで張り切るママは多いですが、まずは赤ちゃんのためにも早めの回復を目指してください。
家事や育児は出来る限りパパやまわりの家族と協力したり、サービスを活用して、無理をしてしまわないよう心がけましょう。