【医師監修】赤ちゃんがなかなか寝ないのはなぜ?寝かしつけのコツや子どもの睡眠時間について紹介
赤ちゃんがなかなか寝てくれなくて困っているママ・パパも多いのではないでしょうか。無理に寝かしつけようとすればするほど寝てくれないこともありますよね。そこで今回は、新生児がなかなか寝ない原因と寝かしつけるコツを紹介します。新生児期以降の睡眠についても紹介するので、参考にしてみてください。
目次
新生児の睡眠時間はどれくらい?
睡眠中に成長ホルモンが分泌されるため、赤ちゃんにとってたっぷりの睡眠は非常に重要です。新生児はどれくらい眠るのが平均的なのでしょうか。ここでは、新生児の平均睡眠時間について解説します。
新生児の平均総睡眠時間は1日15~20時間ほど
生後すぐ~3ヶ月の赤ちゃんの推奨の総睡眠時間は1日14~17時間で、細切れに眠るのが理想。とはいえ、実際の平均は、3~4時間おきにレム睡眠(浅い睡眠)を繰り返し、1日15~20時間と十人十色です。もともとあまり寝ない赤ちゃんもいるため、「○時間眠れば良い」と決まっているわけではありません。理想の睡眠時間から少し外れていても、自然な睡眠であれば問題はありません。周りの赤ちゃんと比べて睡眠時間が少なくても、過度な心配はしないようにしましょう。不足する総睡眠時間はお昼寝で補うため、新生児の場合は3時間ごとにお昼寝をすることを心掛けてください。
新生児の睡眠は、起きているときと寝ているときの周期が短く不規則です。眠っている赤ちゃんが少しの物音や刺激で起きてしまうのは、浅い眠りを繰り返しているためです。
また、このくらいの月齢では、まとめて眠る赤ちゃんはまだ少ないので、数時間おきに授乳するなどのお世話が必要となります。
赤ちゃんが睡眠不足になっていないかどうかが大切
赤ちゃんは、睡眠に関してもそれぞれ個性があります。同じ新生児でも、夜寝たら朝まで起きない赤ちゃんもいれば、寝てもすぐに起きてしまう赤ちゃんもいます。
せっかく寝たのにすぐに起きてしまうと、ママ・パパは赤ちゃんが睡眠不足になっているのではないかと不安になりますよね。しかし、赤ちゃんが起きているときに、機嫌が悪かったり目をこすったりしていなければ、睡眠不足を心配する必要はありません。夜間の睡眠時間は月齢が進むにつれて自然と増えていくので、ゆっくりと成長を見守っていきましょう。
新生児がなかなか寝つけない理由!
新生児がなかなか寝つけない理由を紹介していきます。赤ちゃんは言葉で意思表示ができないため、ママ・パパが寝ない理由を推測し、対処する必要があります。
お腹が空いている
赤ちゃんが寝ないときは、お腹が空いている可能性があります。新生児は母乳やミルクを吸う力が弱いため、一度の授乳では足りない場合があります。まずは授乳を試してみてください。
不快感がある
おむつが濡れているなど、不快感から赤ちゃんが寝ないこともあります。ゲップが出なくて苦しいときや便秘でお腹が張っているときも寝付きが悪くなるため、原因を取りのぞいてあげましょう。
興奮している
日中の経験や音、匂いなどが刺激となって赤ちゃんが興奮し、なかなか寝付けないこともあります。ぐずっているのではなく、機嫌が良い場合は、焦らずに様子を見守りましょう。
お昼寝の時間が長い
朝起きる時間が遅かったり、お昼寝の時間が長かったりすると、赤ちゃんが夜寝なくなることがあります。お昼寝の時間は生後2ヶ月ごろから少しずつ短くなり、生後6ヶ月を過ぎたころには、午前と午後に1回ずつ分けて昼寝をするようになります。
朝起きる時間が遅い場合は、少しずつ起きる時間を早くしていくのが効果的です。時間になったら寝室のカーテンを開けて部屋を明るくするなどして、優しく起床を促してみましょう。お昼寝についても、日中の遊び時間を増やして、お昼寝の時間を少しずつ減らしていくのも良いですね。
体調が優れない
お腹が痛い、熱があるなど、体調不良も新生児が寝つけない理由にあげられます。新生児は体調が急変しやすいため、こまめに体調をチェックして、早期に対処することが必要となります。
寝る環境に慣れていない
室温や湿度などの寝室環境が整っていないと、赤ちゃんが寝付けない傾向にあります。新生児は大人よりも敏感なうえ、体温調節がうまくできません。大人が見ているテレビやスマートフォンの明るさで眠れないケースもあるので、環境を見直しましょう。
新生児を寝かしつけるコツってある?
新生児を寝かしつけるコツを紹介していきます。赤ちゃんが寝ないときに、ぜひ試してみてください。
不快に感じるものを取り除く
赤ちゃんが寝ないときにまずすべきことは、不快な状況を改善することです。授乳から時間が経っていないか、おむつが汚れていないかなど、寝付かない理由を考えて原因を取りのぞいてあげましょう。
添い寝をする
ママ・パパが添い寝をしてあげると、赤ちゃんが安心して眠れるのでおすすめです。胎内と似たような状況を作ると落ち着くため、赤ちゃんをおくるみでくるんだり、ママ・パパの心臓の音を聞かせたりと工夫をしましょう。
抱っこする
布団に横になっても寝ない場合は、赤ちゃんを抱っこして、優しく背中をトントンしてあげると良いでしょう。このときパパやママの胸と赤ちゃんの胸が、密着するように抱くのがポイントです。
定番の抱っこでも赤ちゃんが寝ないときは、縦抱きや横抱きなど、いろいろな抱っこを試すのもおすすめです。スリングや抱っこ紐を使うと、パパやママの負担がやわらぎます。
音楽を流す
小さな音で、優しいヒーリング系の音楽を流すのも、赤ちゃんの寝かしつけにおすすめです。
赤ちゃんはまったくの無音状態では、不安になるといわれています。眠りを妨げない程度のボリュームで、音を流してあげましょう。
赤ちゃん用のオルゴールやホワイトノイズ、心臓音に近い時計の音なども活用してください。もちろん、パパやママの子守歌でも大丈夫です。
マッサージをする
赤ちゃんは眠くなると、手足が温かくなります。手足のマッサージをして血行を促進し温かくしてあげることで、寝付きやすい状況を整えましょう。
マッサージのリラックス効果も、赤ちゃんを眠りに誘う一因です。手のひらや足の土踏まずを親指でやさしく押したり、指の付け根を揉んだりして、眠りを促してみてください。
スキンシップをする
たっぷりスキンシップをとることも、赤ちゃんを安心させて寝付きを良くするポイントです。背中をトントンしたり、絵本の読み聞かせをしながらやさしく触れてあげたりするのも効果的です。
寝る環境を整える
赤ちゃんが快適に眠れるよう、寝室内の環境を整えることも大切です。赤ちゃんの眠りを妨げないように、寝室の照明は暗くしておきましょう。就寝時のテレビやスマホは控え、寝かしつける1時間前を目安に照明を徐々に落として、眠りやすい雰囲気を作りましょう。
さらに、季節に応じて室内の温度調節も行います。夏場は26~28度、冬場は20~23度を目安にすると、赤ちゃんも快適に過ごせるでしょう。
そのほか、赤ちゃんに着せる衣類にも気を配りましょう。室内が寒いからといって必要以上に厚着させたり、布団や毛布を掛け過ぎたりすると、赤ちゃんは暑くて眠れなくなってしまいます。衣類のポイントとしては、新生児は体温調節が苦手なので、生後1ヶ月までの赤ちゃんは、着るものは大人と同じくらいの量にして、かけるものを一枚多くして調節をすることが大切です。赤ちゃんの様子をみながら、眠りやすい環境を整えてあげましょう。
生活リズムを作る
生活リズムを作ることも、新生児の寝かしつけに効果的です。朝になったらカーテンを開けて、日光を部屋に取り入れましょう。昼間は散歩をすると赤ちゃんが適度に疲れて、夜は自然に眠れるようになります。
夜中の授乳は暗いままで
赤ちゃんに夜中眠ってもらうためには、昼と夜の区別がつくような生活リズムを送ることが大切です。赤ちゃんが昼間寝ていても部屋を暗くしたり生活音を静かにしたりせず、そのままの状態で過ごすようにしましょう。
夜中に授乳する際は、部屋の照明を明るくしないで、常夜灯か手元の明かりだけをつけて行います。夜中に部屋を明るくすると、照明の光が刺激となって寝付けなくなる可能性があるからです。授乳を終えたら、そのまま寝かしつけに入りましょう。抱っこじゃないと眠れない赤ちゃんもいますが、ゲップをさせたら布団におろして寝かしつけを行います。抱っこの状態から一緒に布団に入って添い寝ができれば、ママの温もりを感じることができるので、赤ちゃんも安心して眠ることができます。
どうしても寝てくれないときはどうする?
赤ちゃんがどうしても寝ない場合は、放置をせずに、ゆったりと構えて見守ることをおすすめします。
無理に寝かしつけようとすると、赤ちゃんもママ・パパの焦りを感じ取って、余計に落ち着かなくなるかもしれません。寝付かなくてもイライラしないように、深呼吸したり、温かいお茶を飲んだりしてリラックスすると良いでしょう。
イライラしてしまう場合は、赤ちゃんからいったん離れてみるのも選択肢のひとつです。ただし、必ず赤ちゃんの様子をすぐに確認できる場所にいてください。
赤ちゃんのそばを離れる前の安全確認は、念入りに行う必要があります。落下防止のベッド柵を必ず設置し、赤ちゃんの周りに窒息する危険性のあるものが置かれていないかチェックしましょう。たとえ保護者が赤ちゃんのすぐそばにいても、必ず落下防止のベッド柵は上げておくことが大切です。赤ちゃんはいつもママ・パパを探しており、ハイハイできなくても「布団をけって落下することがある」という点を頭に入れておきましょう。また、乳児突然死症候群の危険があるため、生後6ヶ月まではうつ伏せ寝はさせないでください。
生後3ヶ月以降の理想的な睡眠時間は?
月齢が進むにつれて昼と夜の区別がつくようになります。
生後4~11ヶ月の赤ちゃんは1日12~15時間眠るのが一般的です。生後間もないときよりも、若干睡眠時間が減る赤ちゃんが多くなります。できることが増えてくるので、起きている時間が長くなるのです。生後8ヶ月にさしかかれば、大人と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す睡眠リズムができあがる赤ちゃんもいます。不足する総睡眠時間は、12ヶ月までは午前・午後にそれぞれ1回お昼寝をすることで補いましょう。
1~2歳の子どもは、1日11~14時間の睡眠時間が必要となります。このぐらいの年齢になると保育園に通う子どももいるので、活動時間が増える分睡眠時間が減り始めます。不足する総睡眠時間は、午後に1回お昼寝をすることで補いましょう。保育園はお昼寝の時間を設けているところがほとんどなので、夜も早く寝させれば睡眠時間の確保ができます。
3~5歳の子どもは、1日11~13時間の睡眠時間が一般的となります。このくらいになると、お昼寝をしなくても一日中元気に遊べるようになるため、夜はまとめてぐっすり眠るのが理想です。
6~13歳になると、学校に通い始めるので規則正しい生活が求められます。習い事や部活、宿題などもあるので睡眠時間は減り始めますが、1日9~13時間は必要です。
上記のように、赤ちゃんから子どもになるまで、成長と同時に必要な睡眠時間が変わってきます。細かな適正睡眠時間は人それぞれですが、睡眠不足や睡眠過多を原因とした健康や成長への支障が出ないように、子どものうちは保護者が睡眠時間を管理することも必要です。
睡眠不足による悪影響
睡眠時間が不足すると、記憶力が低くなるなど脳の発達に悪影響を及ぼすといわれています。成長ホルモンの分泌量も減ってしまうので、体そのものの成長にも大きく影響が出ることもデメリットのひとつです。
また、常に眠気があるので頭が働かず、集中力のない子どもになってしまいます。集中力がないと、学力や運動能力などにも影響が出てしまうので注意が必要です。さらに、幼いころから睡眠不足が続くと、肥満などの生活習慣病につながるおそれもあります。
子どもに早寝をさせる方法
子どもの睡眠時間を確保するには、早く就寝させるのが最も確実な方法です。子どもを早く寝させるためのコツについてみてみましょう。
まず、朝起きたときに朝日の光をしっかり浴びさせることから始めましょう。朝日を浴びることで、体内時計がリセットされて、暗くなると自然と眠気が来るようになります。「部屋のカーテンを非遮光のものにする」「朝はまずカーテンを開ける習慣をつけさせる」など、自然と光を浴びられるように意識づけましょう。
また、子どもを早く寝させたいのなら、親の生活リズムを整えることも大切です。親が仕事などで忙しく夜更かししてしまう生活習慣だと、子どももそれに合わせて寝る時間が遅くなってしまいます。子どもの睡眠時間を確保するためにも、できるだけ子どもの生活リズムに合わせて食事や入浴などを済ませましょう。
眠る環境を整えることも大切です。「寝室にスマホを持ち込ませない」「寝る1時間前から照明を暗くしておく」など、自然と眠気が来る環境を整えておきましょう。寝る直前までテレビやスマホをみせるのではなく、寝る1時間ぐらい前からは、お話をしたり本を読んだりして入眠する準備をするのがおすすめです。
まとめ
新生児期の赤ちゃんが寝ないと、ママ・パパは休むことができずストレスがたまってしまうでしょう。しかし頑張って寝かしつけようとすると逆効果なので、気持ちをゆったりと構えてみてください。赤ちゃんが寝ない原因を取りのぞいて、スムーズな寝かしつけを目指しましょう。
成長後も、しっかり睡眠の確保が必要です。子どもの睡眠不足は、脳と体の成長に悪影響を及ぼすことがあります。子どもは大人のように自分で時間の管理をすることが難しいため、ご家族全員の生活リズムを整えながら、子どもの睡眠時間をしっかりと確保しましょう。
監修者