妊娠中にうなぎを食べるのは良くない?その理由も解説
妊娠中は赤ちゃんの発育と自身の健康管理のために、バランス良く栄養を摂ることが大事です。うなぎは、栄養成分が豊富で食べると精がつくといわれていますが、妊娠中は食べるのを控えたほうが良いとされています。これは、うなぎに含まれる栄養素が関係しているからです。今回は、妊娠中になぜうなぎを控えたほうが良いのか、栄養面から理由を解説します。
目次
うなぎに多く含まれる栄養分
うなぎには、豊富な栄養素が含まれています。生うなぎ100gあたりに含まれる栄養素は、以下のとおりです。
・ビタミンA:2400μg
・ビタミンB1:0.37mg
・ビタミンB2:0.48mg
・ビタミンE:7.4mg
蒲焼にすると、ビタミンAは生よりも少なくなり、1500μg程度となります。上記以外にも、タンパク質・亜鉛・ミネラル(カリウムやカルシウム)・DHA・EPAなども多く含まれています。
特にビタミンAは、目の健康維持や免疫力向上などの作用があるといわれる栄養素です。ビタミンAは動物性の「レチノール」と植物性の「カロテン類」があり、うなぎに含まれるビタミンAはレチノールに該当します。
レチノールはカロテン類よりも体内への吸収率が高く、約70~90%が吸収されます。これらの点から、うなぎは本来であれば健康に良い食品なのです。
妊娠中はビタミンAの過剰摂取がNG
ビタミンAは体内で合成できない栄養素であるため、妊娠中も適切な量を摂取しなくてはなりません。しかしながら、うなぎは妊娠中に食べるのを控えたほうが良いとされています。
ビタミンAの過剰摂取は胎児に影響を与えることがある
うなぎを控えたほうが良い理由は、妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると、胎児に先天性の異常が起こりやすくなるためです。
特に、妊娠12週未満の初期段階では、胎児が口蓋裂・水頭症・耳の形成不全などを発症するリスクが大幅に高くなるとの報告があります。妊娠中期以降も、ビタミンAを過剰摂取すると、胎児に悪影響を及ぼす可能性がないとはいえません。
また、妊娠していない成人であっても、レチノールを過剰摂取すると、頭痛・嘔吐・吐き気・めまいなどの症状が現れることがあります。妊娠中は体内の変化に敏感になりやすいため、胎児への影響だけでなく、自身の体調不良を引き起こす原因にもなってしまいます。
妊娠中に食べても良いうなぎの量は?
控えたほうが良いとはいえ、妊娠中はうなぎをまったく食べてはいけないわけではありません。妊婦の1日あたりのビタミンAの推奨量は、妊娠中期くらいまでは650~700μg・後期で730~780μgとなっています。
うなぎの蒲焼100g中には、ビタミンAが1500μgほど含まれています。1人前のうなぎを食べると、1日の摂取推奨量を大幅に超えてしまうため、推奨量に収めるには40〜50g程度に抑えることが大切です。うなぎの肝はビタミンAが多いため、妊娠中はできるだけ摂取を避けましょう。
ビタミンAを摂るなら緑黄色野菜がおすすめ
過剰摂取により胎児に悪影響があるビタミンは、レチノールのみです。植物性のカロテン類は、体内に入った時点でビタミンAが足りていれば体外に排出されるため、悪影響はありません。
ビタミンAを摂取するのであれば、カロテンが豊富な緑黄色野菜を食べましょう。
うなぎのほかに控えたほうが良い食品
うなぎ以外にも、レチノールを多く含んでいる食品は以下のとおりです。
・レバー(鶏・牛・豚全般)
・あんこう
・ホタルイカ
・銀鱈
・アナゴ
・プロセスチーズ
・サプリメント(マルチビタミンなど)
上記の食品の中でも、特に鶏レバーや豚レバーにはレチノールが多く含まれます。うなぎと同様に、妊娠中の食べ過ぎには十分注意しましょう。ビタミンの摂取量が気になるからといって、サプリメントの摂取が多い方も要注意です。
まとめ
うなぎはビタミンAを中心に栄養価が豊富な食材です。しかし、妊娠中のビタミンAの過剰摂取は、胎児に影響が出るおそれがあります。
妊娠中の食生活で最も重要なのは、バランスの良い食事を心がけることです。もし、うなぎを食べる場合は、1日の合計で40~50g程度の量に抑え、かつ、レチノールの含有量が少ない食事を合わせるなどの工夫をしましょう。