妊婦のつらい冷えの原因は?悪影響が出ないように対策を!
寒くなるにつれて、妊娠中の冷えが気になる方も多いのではないでしょうか。
冷えはママだけでなく、お腹の赤ちゃんにも影響を与える可能性があります。今回は、妊娠中に体が冷えやすくなる理由と冷え対策、おすすめアイテムを紹介します。
目次
妊娠中に体が冷えやすくなる原因
妊娠中に冷えを感じる理由として、下記の3つがあげられます。
自律神経が乱れるため
自律神経には内臓の機能や代謝を整え、体温を維持するはたらきがあります。体を動かすアクセルのような役割の交感神経や、リラックス作用のある副交感神経がバランス良くはたらくことで、体の機能が保たれています。
しかし、妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、自律神経が乱れやすくなります。その結果、体温調節が難しくなり、冷えを感じやすくなります。
血流が悪くなるため
妊娠中は大きくなったお腹を支えるために、お腹を突き出すような姿勢になりがちです。長時間同じ姿勢で過ごすと筋肉が硬くなり、血管が圧迫されて血行不良を引き起こしてしまいます。その結果、血液の循環が悪くなり、冷えやすくなるのです。
筋肉量が不足するため
妊娠中は運動不足になりやすいため、筋肉量が不足しがちです。筋肉には熱を生み出すはたらきがありますが、筋肉量が減ると熱を生む力が弱まり、冷えを招いてしまいます。
また、筋力が低下すると基礎代謝量(安静時に消費されるエネルギー)が少なくなり、摂取した栄養素をエネルギーとしてうまく変換できなくなり、冷えやすくなることもあります。
妊娠中の冷えによる影響
妊娠中の冷えは、さまざまな悪影響を及ぼしやすくなるため注意が必要です。例えば、体の冷えにより血行が悪くなることで、こむらがえりやむくみなどを招きやすくなります。また、血行不良によって、胎盤やへその緒から赤ちゃんに必要な酸素や栄養を届けることが難しくなります。
ほかにも、体が冷えることで、つわりや倦怠感がひどくなるケースもあるようです。
お腹が冷えていると胃腸の冷えにもつながるため、腸のはたらきが悪くなり便秘や下痢などを引き起こしかねません。体の冷えが腰痛や肩こりなどを招きやすくなり、全身の凝りから頭痛が起こる可能性もあります。
また、冷えにより筋肉が硬くなると、子宮の収縮が妨げられるため、陣痛が弱くなり難産になるおそれがあります。本来、強い陣痛が起こることで、子宮口が広がりお産がスムーズになりますが、冷えによりその機能が十分に働かなくなってしまうのです。
さらに、母乳はママの血液から作られるため、血液の流れが悪いと母乳分泌にも影響を及ぼします。母乳の味はママの食事や体調によって変化するといわれています。赤ちゃんにおいしい母乳を与えるために、妊娠中から冷え対策を実践しましょう。
食習慣・生活習慣で妊娠中の冷え対策を
体を温めて血流の滞りを防ぐためには、食事や運動を意識することが大切です。ここでは、冷え予防に役立つ食生活のポイントやおすすめの運動を紹介します。
体を温める食材を食べよう
体を温める性質を持つ食材を取り入れてみましょう。代表的なのは、生姜です。生姜にはショウガオールという体を温める作用がある成分が含まれています。
例えば、スープや炒めものに生姜を加えてみましょう。使いやすい食材ですので、無理なく食事に取り入れられるのではないでしょうか。このほか、ごぼうやさつまいもといった根菜類も体を温める作用があるといわれています。
体を冷やす食材を食べ過ぎない
きゅうりやトマト・レタス・キャベツといった野菜、パイナップルやバナナ・みかん・レモンなどには、体を冷やす作用があるといわれています。このような食材はあまり摂り過ぎないように気を付けましょう。
冷たい飲み物を摂り過ぎない
冷たいものを飲むと、体は冷えやすくなってしまいます。氷入りや冷やした飲み物は避けて、できるだけ常温か温かい飲み物を飲むようにしましょう。
適度な運動で血流をアップ
妊娠中は体がだるかったり、つわりがひどかったりで、動くのが億劫になるかもしれません。しかし、適度に運動をして血流を上げることは、冷え防止にはとても大切です。もちろん冷え対策だけでなく、妊娠中の太り過ぎの防止などにもつながります。
元気がある人はプールに行ったりマタニティヨガに行ったりするのがおすすめ。そこまではできなくても、意識的にたくさん歩いたり体操をしたりするだけでもOKです。病院に検診に行くときや、買い物に行くときに、ひと駅分歩いたり階段を使ったりして、できるだけ体をしっかりと動かすように意識してみてください。
しっかり湯船に浸かる
お腹が大きくなると湯船に浸かるのも大変になり、シャワーだけで済ませる方も多くなります。しかし、冷えを改善するには湯船に浸かって体の芯から温まることが大切です。ぬるめのお湯(38~40度程度)に15~20分ほど浸かると良いでしょう。
湯船に浸かることで、水圧効果によりむくみ予防につながったり、温めることで筋肉の柔軟性を高めたりできます。入浴が難しい場合は、足浴や手浴などを上手に活用しましょう。
質の良い睡眠をとる
自律神経を整えるために、質の良い睡眠を心がけましょう。一般的には7時間前後の睡眠時間が理想的といわれていますが、ぐっすり眠れたという感覚には個人差があります。特に妊娠中は体への負担が大きいので、様子を見ながら自分に合った睡眠時間を確保しましょう。
睡眠時間の確保だけでなく、睡眠の質を高めることも大切です。睡眠の質を高めるために「起床後に朝日を浴びる」「寝る1~2時間前までにお風呂に入る」「就寝前はスマートフォンやPCを見ない」などを意識しましょう。
妊娠中の冷え対策におすすめのアイテム
妊娠中の冷えを予防するには、食習慣や生活習慣で体質を改善しつつ、物理的に冷えを防いでくれるアイテムを併用するのがおすすめです。そのなかでも、マタニティ向けのインナーは体を効率的に温めることができ、血行不良対策にもなります。
ここでは、冷え対策におすすめの3つのアイテムを紹介します。
腹巻き、腹帯
おなかが冷えると赤ちゃんに十分な酸素と栄養が行き渡らなくなることがあります。腹巻きや腹帯を活用して、しっかりと冷えから体を守りましょう。
寒さや冷えを感じていなくても、おなかに触れてひんやりとしていたら、体が冷えているサインです。年間通して使える薄手の腹巻きや、お尻まで包んでくれるロング丈の腹巻きなど、用途に合わせて選びましょう。
ただし、圧迫感があるものは血流を滞らせてしまうおそれがあるため、無理に着用せずに余裕のあるサイズのものを選ぶことが大切です。
おなか全体をすっぽり覆える腹帯もおすすめです。コルセットタイプなら締め付け感が少なく、就寝時やリラックスタイムにも着用できます。また、補助腹帯も付いているタイプは、大きくなったお腹を支えるサポートアイテムとしても便利です。冷え対策だけでなく、腹部の負担軽減にもつながります。
レギンス
妊娠中は季節に関係なく足が冷えやすくなります。レギンスのような足をカバーして体全体の冷えを予防してくれるアイテムは、冷え対策にぴったりです。
ストレッチ性に優れているので、ストレスなく履けるメリットがあります。さらに、ウエストにゴムが入っていてサイズ調節ができるレギンスであれば、妊娠初期から臨月まで長く使えます。
また、レギンスは洗い替え用に2本~3本用意しておくと便利です。暑い時期には接触冷感やUV加工されているレギンス、寒い時期には厚手や裏起毛タイプのレギンスを選ぶと、季節に合わせて快適に過ごせます。 年間通して使用したい方や敏感肌の方は、保温性が高く、通気性や吸水性に優れている綿100%のレギンスがおすすめです。
ソックス、レッグウォーマー
足元を温めると血行が良くなり、妊娠中によくみられるむくみ予防に役立ちます。
冷え対策としてソックスを選ぶときは、内くるぶしから指4本分の場所にある「三陰交」と呼ばれるツボが隠れる丈のものを選びましょう。「三陰交」を温めることで、冷え予防や安産につながるといわれています。
レッグウォーマーは、冬の防寒対策としてはもちろん、靴下を履きたくない夏でも活躍します。空調の影響で足元が冷えやすくなっているときは、レッグウォーマーを上手に活用して冷え対策を行いましょう。
まとめ
妊娠中は、ホルモンバランスの変化により体が冷えやすくなります。さらに、姿勢の変化によって血行不良を招きやすくなるため、注意が必要です。
冷えをそのままにしておくと、つわりや倦怠感がひどくなることもあります。普段から食習慣や生活習慣を整え、体を温める工夫を取り入れましょう。
加えて、腹巻きや腹帯、レギンス、ソックス、レッグウォーマーなど、手軽に温度調節できるアイテムも冷え対策に有効です。冷えを防ぎ快適に過ごせるように、これらのアイテムも適宜活用しましょう。