産休手当はいつからもらえる?申請方法もあわせて解説
出産を控える方のなかには、産休中に収入がなくなることを不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、産休中には一定の条件を満たせば、産休手当(出産手当金)が支給されます。産休手当は、産前産後期間の収入の減少による金銭面の負担をカバーし、生活をサポートするための公的な制度です。
今回は、産休手当がいつからもらえるのか、支給される条件や申請方法とあわせて解説します。
産休手当はいつもらえる?
産休手当は、出産日以前42日目(産前6週間)から、出産の翌日以降56日(産後8週間)までの間に会社を休んだ期間に対して支給されます。双子など多胎の場合は、出産日以前98日(産前14週間)から支給対象となります。
予定日より出産が遅れた場合の支給対象期間は、「出産日以前42日+予定日から実際の出産日までの日数分+出産の翌日以降56日」となり、予定日より遅れた日数分が加算されます。
一方、予定日より出産が早まった場合の支給対象期間は、「出産日以前42日+出産の翌日以降56日」ですが、休業前の給与が支給されていた日数は手当支給の対象となりません。
産休手当の書類を申請すると、申請から2~3週間後に「給付金支給決定通知書」が届きます。その後、申請から1~2ヶ月ほどで指定口座に一括で振り込まれます。提出書類に不備があると、振込が遅れてしまうため注意しましょう。産休手当は、産前分と産後分をそれぞれ申請することも可能ですが、事業主の記載欄には毎回記入してもらう必要があります。
産休期間中に産休手当を受け取るのは、手続きの仕組み上難しいため、産休期間中に必要とされる出産費や生活費は前もって用意しておきましょう。
産休手当の支給金額
産休手当の支給金額は、下記の計算方法で算出されます。
【1日当たりの金額】
支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
標準報酬月額とは、被保険者が受け取る月々の給与を、一定の等級に区分した額です。
例えば、標準報酬月額が30万円であり、かつ産前産後98日間休んだ場合は、下記の支給額となります。
1日当たりの金額:30万円÷30×(2/3)=6,667円
総支給額:6,667円×98日=65万3,366円
産休手当が支給される条件
産休手当を受け取るには、下記の支給条件を満たしていることが必要です。
・事業所の健康保険の被保険者である(被扶養者は対象外)
・妊娠4ヶ月(85日)以降に出産している(流産や死産も含む)
・出産のために休業している
正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員であっても、上記の条件を満たしていれば産休手当が支給されます。
また、出産を機に退職(健康保険を任意継続する場合を含む)もしくは退職を予定している場合でも、下記の条件に該当すると支給対象になる場合があります。
・退職まで継続して1年以上健康保険の被保険者であった
・資格喪失(退職日の翌日)の段階で産休手当を受給しているか、もしくは受給資格がある
・退職日に出勤していない
この場合は、会社を通して産休手当の手続きができないため、被保険者本人が健康保険組合へ申請をしなくてはいけません。出産を機に退職を予定していて、産休手当の受取を希望するのであれば、条件に合うように退職日の設定が必要です。
産休手当の申請方法
産休手当を申請するには、勤務先の担当者または健康保険組合などの公式ホームページから、「健康保険出産手当金支給申請書」を入手しましょう。申請書に必要事項を記入したら、医師や助産師などに該当する記入欄に記入してもらいます。このとき、医療機関によっては書類の記入に対して文書料がかかる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
被保険者と医療機関の記載欄を記入したら、申請書を勤務先に提出して勤務状況や賃金の支払い状況などを記入してもらいます。その後、勤務先から加入している健康保険団体へ書類を送付すると、手続きは完了です。
産休手当の申請期限は、産休開始の翌日以降2年間となっており、2年を過ぎると、1日ごとに受給権利が時効を迎え、消滅してしまいます。必ず時効を迎える前に申請手続きを行いましょう。
まとめ
産休手当は、産休中に給与を得られない女性をサポートする制度です。今回紹介したように、申請してから振り込まれるまで1~2ヶ月程度かかるため、それまでの期間にかかる生活費は確保しておく必要があります。
出産前は何かと慌ただしくなってしまうものですが、落ち着いて産休に入れるよう、申請書の準備は早めにしておきましょう。