妊娠中にカニ・エビは食べることができる?注意点は?
妊娠中はお腹の赤ちゃんのためにも、しっかりと栄養を摂る必要があります。とはいえ、カニやエビなどの甲殻類はアレルギーの原因にもなっているため、妊娠中に食べてもいいのか気になる方もいるでしょう。今回は、妊娠中にカニやエビを安全に楽しむポイントについて紹介します。
妊娠中にカニ・エビは食べられる?
妊娠中でも、カニやエビなどの甲殻類アレルギーがなければ食べても問題ないといわれています。ただし、アレルギーのある方が摂取すると、母体と胎児に影響をおよぼすおそれがあるため、体調面で不安がある方は控えたほうがよいでしょう。
食べるかどうかの判断に迷いがちなカニやエビですが、実は赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素も豊富に含まれています。
カニには、良質なたんぱく質やビタミンB12、ビタミンE、カリウム、銅、亜鉛、葉酸など、さまざまな栄養素がバランス良く含まれています。
特にビタミンB12は赤血球を作るのに必要な栄養素であり、鉄の吸収をサポートするはたらきがあるのが特徴です。葉酸もビタミンB12とともに造血ビタミンともいわれ、妊娠中に欠かせない栄養素です。低カロリーで脂質も少なくヘルシーなので、妊娠中でも食べやすい食材といえます。
一方、エビには良質なたんぱく質やビタミンE、カルシウム、鉄、リン、亜鉛などが含まれています。
エビの殻には、抗酸化作用のあるアスタキサンチンや動物性食物繊維のキチン・キトサンという成分も豊富です。エビフライや天ぷらなどにして丸ごと食べると、殻の部分の栄養素までたっぷりと摂取できます。
妊娠中のカニ・エビはどれくらい食べても良い?
カニやエビを食べ過ぎると、健康に悪影響をおよぼすおそれがあるため、摂取量に注意が必要です。特に、カニ味噌は内臓にあたる部分であり、身の部分に比べてプリン体やコレステロールが多く含まれています。エビも同様にこれらの成分が多く含まれているため、食べ過ぎないようにしましょう。
例えば、ずわい蟹の場合、プリン体は100gあたり136.4mg含まれています。1日の摂取目安は400mg以内なので、食べる際は小さめの蟹を1杯程度(殻も含めて300gほど)に留めましょう。
出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中プリン体含量(mg/100g)」
また、厚生労働省では胎児への影響を考慮して、水銀濃度の高い魚介類を制限するよう注意喚起を行っています。しかし、カニやエビは厚生労働省が発表している「妊婦が注意すべき魚介類」のリストに含まれていないため、妊娠中でも比較的安心して食べられる食材です。
ただし、妊娠中はホルモンバランスの変化により、消化不良になりやすいので、食べ過ぎると下痢などを引き起こすおそれがあります。そのため、適量をゆっくり良く噛んで食べるよう心がけましょう。
出典:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」
妊娠中にカニ・エビを食べるときの注意点
妊娠中にカニやエビを食べるときは、食中毒対策が欠かせません。妊娠中は免疫力が低下しやすく、食中毒にかかるリスクが高まるからです。
また、生の肉や魚には食中毒を引き起こす細菌が付着していることがあるため、生食せずに必ず加熱してから食べましょう。
特に、リステリア菌とトキソプラズマには注意が必要です。リステリアは河川水や家畜などにいる細菌で、妊娠中に感染すると流産や早産などを引き起こすおそれがあります。
一方、トキソプラズマは猫のフンや加熱が不十分な肉類、汚染された水で育った魚介類などに多くみられる寄生虫です。感染すると妊婦だけでなく、赤ちゃんにも悪影響をおよぼすことがあります。妊娠初期は赤ちゃんの器官が作られる重要な時期なので、生ものを食べるのは避けましょう。
また、カニやエビなどの内臓には、カドミウムなどの有害な物質が蓄積されやすい特徴があります。過剰摂取は早産のリスクを高めるおそれがあるため、食べ過ぎないよう注意しましょう。
まとめ
妊娠中でもカニやエビにアレルギーがなければ、食べることは可能です。これらの食材には、ママの健康や赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。調理法を工夫することで殻や尻尾まで食べられて、栄養素をしっかりと摂取できるのがポイントです。
ただし、コレステロールやプリン体が多く含まれており、食べ過ぎると体調に悪影響をおよぼすおそれがあります。食中毒を防ぐために、加熱してから適量食べるよう心がけましょう。