赤ちゃんのモロー反射ってなに?起こる原因とは
赤ちゃんがよくするといわれている「モロー反射」。言葉自体、聞いたことはあるけれど、具体的にどんな動きのことなのかまでは知らないママ・パパも多いのではないでしょうか。また、具体的な動きを知っているママ・パパの中には、「病気の心配はない?」「激しすぎる動きは変ではないの?」と悩んでいる方もいることでしょう。今回は、モロー反射の原因などについて解説します。
目次
モロー反射とは
モロー反射とはいったいどんな動きで、どんな時期に起こるのでしょうか。ここでは、モロー反射でよくみられる動作や多くみられる時期などについて解説します。
どんな動きをするの?
モロー反射とは、赤ちゃんが外部から刺激(音や光、振動、急な体の傾きなど)を受けて驚いた時にみせる反応のことで、生まれたときから自然と備わっている原始反射のひとつです。手足を驚いたようにビクッと痙攣させたあとに、両腕で万歳のような動作をします。
起こる時期とは?
モロー反射が起こるのは、生後すぐ~4ヶ月ぐらいまでの間です。個人差があるものの、生後半年も経てば自然としなくなることが多いです。
病気の心配はないの?
生後半年が過ぎてもモロー反射がなくならない場合、病気を心配してしまうママ・パパもいるのではないでしょうか。特に、周囲の人に何気なく指摘されたことで、余計に気にしてしまうということもあると思います。
「モロー反射が長引くから病気かも…?」と心配する方も多いですが、一概にそうとは言い切れません。発育には個人差があるので、特に問題や理由はなく長引いているだけという可能性も大いにあります。
あまり気にしすぎず、それでも気になるようなら、日々のモロー反射を記録して、検診のときに主治医の先生に相談してみてください。
モロー反射がない、、、これって変?
モロー反射をまったくしない…という赤ちゃんもいますよね。何か理由があるのでしょうか。ここでは、モロー反射をまったくしない場合の理由と対処方法について解説します。
モロー反射があまりない赤ちゃんは、核黄疸という症状が出ている可能性があります。核黄疸は肌が黄色っぽくなる黄疸の一種です。この黄色の色素が脳に沈着すると、脳や運動機能に影響を与えるので、一度かかりつけの小児科の先生に診てもらったほうが良いでしょう。
モロー反射は、赤ちゃんの中枢神経が正常に機能するかどうかを測る大切な動作です。生まれてすぐに反射があるかどうか確認する病院がほとんどなので、病院では異常がみられなかったのに、しばらく経つとモロー反射がみられなくなったという場合は小児科の先生に相談しましょう。
モロー反射が激しい!少なくする対策はあるの?
モロー反射が激しく、頻度も多い赤ちゃんの場合も少し心配になってしまいますよね。モロー反射が激しくても、基本的には何も対処しなくても問題はありません。しかし、「ずっと続くのでどうしても気になる」という場合は、下記のような対処をして様子をみてみると良いでしょう。
赤ちゃんの刺激となるものを少なくする(音、光、風など)
モロー反射は、赤ちゃんに与えられるあらゆる刺激が原因で起こるものです。赤ちゃんがいる環境の中に、赤ちゃんを刺激するものが多いと、それだけモロー反射も増えるといわれています。そのため、モロー反射が激しいのは、赤ちゃん自体に異常があるわけではないことが多く、赤ちゃんがいる環境を見直すことで激しさを抑えられる可能性があります。
たとえば、音や光、風などが赤ちゃんの刺激の対象です。モロー反射が多すぎる赤ちゃんの場合、これらを上手にコントロールすることで収まる可能性もあるので、一度、赤ちゃんがいる部屋の環境を見直すことをおすすめします。大人が気付かないだけで、周囲の環境がうるさかったり、部屋が明るすぎたり、エアコンが効きすぎていたりすることが多いです。
具体的な対処方法としては、音をなるべく立てずに歩く、静かにドアの開け閉めをする、カーテンで直射日光を遮る、部屋を少し暗くする、エアコンや扇風機の風を赤ちゃんに直接当てないように調節するなどがあげられます。ぜひ試してみましょう。
赤ちゃんが五感で感じる刺激を少しずつ少なくして、モロー反射が収まるかどうかを確認します。これで収まるようなら、上手に環境をコントロールして様子をみましょう。
おくるみでくるんであげる
おくるみでくるんであげることで、赤ちゃんがリラックスできる状態になったり、動きが抑制されたりするため、モロー反射が起きにくくなる可能性があります。きつくしすぎない程度にくるむと良いでしょう。おくるみには、赤ちゃんの肌を刺激しないオーガニックコットンのものを使用するのがおすすめです。夏なら通気性が良いものなど季節に応じて変えてみましょう。
おくるみを嫌がる赤ちゃんは、そもそも布を巻かれること自体を嫌がっているのか、おくるみの素材を嫌がっているのかを判別しなければなりません。複数のおくるみを用意して、試してみましょう。
ほかにも、赤ちゃんが常にリラックスした状態で過ごせるように、スキンシップを念入りにしてあげたりすることなどもモロー反射対策には効果的です。
モロー反射がおこったときは安心させてあげることも大切
モロー反射が起こったときは、赤ちゃんを安心させることが大切です。執拗にモロー反射が起こる場合は、まず抱っこをしてあげましょう。しかし、抱っこすることがかえって刺激となることもあるので、抱き方に注意が必要です。
頭の位置が下がらないように抱っこし、体に密着させて背中をさすってあげましょう。優しく寝かしつけるようにとんとんと背中を叩いてあげるのもおすすめです。ママやパパの体の体温や手のひらを感じることで赤ちゃんが安心して眠れます。
赤ちゃんが眠る寝具を、ママやパパの体温と同じくらいに温めておくのも効果的です。冷たい寝具が刺激になる可能性があるので、温めておいてあげましょう。
モロー反射とよく似た別の疾患
モロー反射の動きとよく似た疾患があります。あまりにもモロー反射が激しい場合は、これらの疾患の可能性も捨てきれません。モロー反射には個人差があるので、神経質にならなくても良いですが、なかなか症状が終わらないというときは、こうした疾患の可能性も頭に入れながら、赤ちゃんを観察しましょう。
点頭てんかん
点頭てんかんは、出生後の合併症で起こる脳の疾患で、乳児期の悪性てんかんです。症状としては、頭や手足に瞬間的に力が入る、寝起きの時に突然頭がガクッと垂れるなどがあります。生後3ヶ月~11ヶ月頃に発症することが多いです。
症状が似ているためモロー反射と勘違いすることもありますが、笑わなくなったり、座ることができなくなったりと発達の退行もみられる場合は、てんかんの可能性があります。
モロー反射と何かが違う、おかしいと感じたら、早めに小児科を受診するか、乳幼児健診の時に先生に確認しましょう。
脳性麻痺
脳性麻痺もモロー反射と間違いやすい疾患です。脳性麻痺の症状には、身体が反り返る、手足がこわばるなどがあります。また、運動機能の発達が遅いことも特徴です。脳性麻痺は妊娠中や出産直後などでできた赤ちゃんの脳の損傷が原因で起こる疾患で、運動機能などに影響が出ます。
モロー反射だと思って様子をみていたけれど、1歳近くになってもおさまらないなど心配なことがある場合は、早めに病院を受診しましょう。過度に気にしすぎる必要はありませんが、ひとつの目安として知っておくと良いでしょう。
まとめ
モロー反射は、赤ちゃんの中枢神経が正常に機能しているかどうかがわかる赤ちゃん独特の反射反応です。また、頻度や時期は個人差があります。
モロー反射が激しすぎる場合は、注意深く赤ちゃんを観察して、日々のモロー反射を記録し、環境を変えてみることが大切です。1歳近くになってもおさまらなかったり、反射がなかったり心配になるときは、小児科の先生に診てもらいましょう。