赤ちゃんのお肌がぶつぶつに!乳児湿疹ってどんな症状?
赤ちゃんの顔や背中に湿疹が急にできると、どうしたらよいのだろうかと焦ってしまうこともあるでしょう。そんなときでも、乳児湿疹の対処方法を事前に知っていると、落ち着いて対応することができます。そこで今回は、乳児湿疹の原因や予防対策についてご紹介します。
目次
乳児湿疹とは?
乳児湿疹とは肌トラブルの病名ではなく、赤ちゃんによくできる湿疹の総称です。
乳児湿疹の種類
主な乳児湿疹の種類には、新生児ニキビ・乳児脂漏性湿疹・あせもの3つがあります。
・新生児ニキビ
生後1週間~1ヶ月ごろにみられる症状です。母親の女性ホルモンの影響で皮脂の分泌量が増えて、毛穴に皮脂が詰まることで起きます。生後2~4ヶ月までは、母親の女性ホルモンが乳児の体の中に残っているため、女性ホルモンの影響を受けてしまうのです。ホルモンバランスが落ち着いてくる生後2~4ヶ月ごろになると、治まってきます。
・乳児脂漏性湿疹
生後3~4週ごろにみられる症状です。こちらも新生児ニキビ同様、母親の女性ホルモンの影響で皮脂の分泌量が増えて、毛穴に皮脂が詰まることで起きます。生後2~4ヶ月ほどして、ホルモンバランスが落ち着いてくると、治まってきます。
・あせも
汗をかきやすい暑い季節に起こりやすい症状です。こまめに汗をふいたり、着替えたりして肌を清潔にしておきましょう。
どんな症状?
新生児ニキビは、顔の毛穴部分に炎症が起きてニキビのようなポツポツができる症状です。ひどい場合には、顔全体に赤いポツポツが広がってしまうこともあります。
乳児脂漏性湿疹は、顔と頭にフケや黄色みがかったうろこ状のかさぶたができる症状です。首から上、顔、頭皮と症状が現れます。
あせもは、尿酸やアンモニアといった成分が含まれている汗が、肌に刺激を与えて炎症を引き起こしたものです。首のしわの間、わきの下、ひじの裏、足の付け根、ひざの裏など皮膚が重なりあう部分は汗をかきやすく、同時に汗が蒸発しにくいためあせもができやすくなります。
乳児湿疹は自然に治る?受診するタイミングは?
ほとんどの場合、乳児湿疹は特に治療をしなくても、患部を清潔にしてきちんとスキンケアを行えば自然と治ります。
入浴時にしっかりとせっけんを泡立てて患部をやさしく洗い、お風呂上がりは低刺激性のローションや乳液、ワセリンなどの保湿剤で保湿すると良いでしょう。乳児湿疹ができるのは皮脂の分泌量が増えて毛穴が詰まるからであるものの、保湿しないと症状が悪化するおそれがあります。皮膚の状態を整えるには、入浴後にきちんと保湿ケアをすることが大切です。
ていねいにスキンケアを行っても、赤ちゃんの乳児湿疹がなかなか治らないことでお悩みのママ・パパもいるかもしれません。湿疹が治るまでの期間はさまざまなので、根気良くケアをしてあげましょう。
生後2~3ヶ月くらいまでは皮脂の分泌量が多く、乳児湿疹を繰り返すケースが多いです。「やっと治った」と思って喜んでいたら、再発したというケースは珍しくありません。
生後2~3ヶ月を過ぎると皮膚が乾燥しはじめ、乾燥による湿疹に変わることもあります。そうすると、さらに湿疹が続くことになり、「なかなか乳児湿疹が治らない」ということにもなるでしょう。
とはいえ、赤ちゃんが1歳くらいになると、皮膚にバリア機能が備わり湿疹ができにくくなります。それまでの間は乳児湿疹を繰り返すこともありますが、1歳を過ぎた頃には自然と治るケースが多いです。
ただし、ていねいなスキンケアをしているのに、湿疹が治まらず逆に悪化しているように思える場合は、病院を受診するようおすすめします。湿疹が悪化してかきむしると、余計に酷くなるおそれがあるからです。また、症状や原因によって適切な治療方法は異なるため、自己判断で薬を使うのは控えましょう。
皮膚科や小児科では、赤ちゃんの皮膚の状態を診たうえで適切な治療を行います。患部に炎症があるようであればステロイド外用剤などの塗り薬が処方されることが多いです。症状がひどい場合は、市販の塗り薬などでケアするよりも処方薬を使ったほうが早く治るでしょう。
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違い
赤ちゃんに乳児湿疹が出ると、アトピー性皮膚炎を心配するママ・パパが多いようです。乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は症状が似ており、判別が付きにくいため、医師は治療をしながら経過を観察して診断します。
赤ちゃんのうちは湿疹が出ること自体は珍しいことではないので、湿疹が出たからといってすぐにアトピー性皮膚炎を心配する必要はありません。まずはスキンケアをていねいに行って、様子を見ましょう。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹ができるのが特徴で、患部がジクジクすることもあります。そして、湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが一般的です。
赤ちゃんにアトピー性皮膚炎が見られる場合、食物アレルギーから併発することが多いといわれています。特にママ・パパにアレルギーがあるなら、アトピー性皮膚炎の可能性も否定できません。
赤ちゃんが生後3ヶ月を過ぎても湿疹を繰り返すようであれば、皮膚科の受診を検討すると良いでしょう。生後4ヶ月くらいになると血液検査でアレルギーの検査が受けられるので、アレルギー体質かどうかの診断ができます。
赤ちゃんの肌の特徴と乳児湿疹を防ぐポイント
赤ちゃんの皮膚は薄く、肌を外部の刺激などから守るバリア機能が低い状態です。大人の肌と比較すると、表皮(皮膚の一番外側の部分)の厚さが半分以下ともいわれており、その分外部からの刺激に敏感な状態にあります。
また、一見うるおっているように見える赤ちゃんの肌ですが、乾燥にも弱いのが実情です。肌のうるおいをキープするのに必要な皮脂は、生後2~3ヶ月で分泌量が低下するため、肌の水分を保つことができず、大人と比較すると保水量も少ない状態にあります。その結果、皮膚が乾燥しやすく、かゆみや湿疹といったトラブルが出やすいのです。
バリア機能が低い赤ちゃんの肌ですが、スキンケアをしっかり行うことでバリア機能を高めることができます。スキンケアでアトピー性皮膚炎の発症リスクを下げることができるという報告もあるので、しっかりと行いましょう。
スキンケアの基本は、「洗う・補う・守る」の3つです。皮膚の汚れをきちんと洗い流し、保湿剤で皮膚に足りない水分や油分を補いましょう。また、肌が乾燥しやすい環境では、より保湿ケアをしっかりと行うことで乾燥から肌を守ることができます。こうした日常的なスキンケアで、湿疹ができにくいような赤ちゃんの肌づくりを行いましょう。
スキンケアは親子のスキンシップにも有効です。スキンケアを行って赤ちゃんと触れ合うと、赤ちゃんの健やかな成長につながります。
家庭でできる乳児湿疹の予防と対策
肌をいつも清潔にして保湿をしっかりと行うと、乳児湿疹を予防することができますし、できてしまっていても症状を緩和し悪化を防ぐことができます。そのために大切となる、沐浴とスキンケアの仕方についてご紹介していきます。
沐浴の仕方
赤ちゃんの肌を清潔に保つうえで欠かせないのが沐浴。湿疹やあせもを防ぐための沐浴では、どんなことに気をつけながら行うとよいでしょうか。
乳児湿疹があらわれているということは、皮脂の分泌量が多いということ。なので、ぬるま湯で洗い流すだけでなく、せっけんをよく泡立てて、たっぷりの泡でこすらず手で優しくなでるように洗っていくようにしましょう。
特に、汗や汚れが溜まりやすい首のしわの間、わきの下、ひじの裏、足の付け根、ひざの裏など皮膚が重なりあうところは丁寧に洗ってください。赤ちゃんの肌はセンシティブなので、せっけんの使用は1日1回までにすると良いでしょう。
泡を洗い流すときには、ぬるま湯を使って洗い流していきます。体を洗い終わったら、上がり湯を最後にかけてあげましょう。それから、赤ちゃんをバスタオルの上に寝かせて、タオルを優しく当てて水分を拭き取っていきます。
スキンケアの仕方
沐浴したあとは、すぐに保湿剤を塗ってスキンケアをしていきましょう。沐浴後そのままにしておくと、肌が乾燥して皮脂の分泌量が増えてしまい、乳児湿疹がなかなか治りません。
保湿のためにワセリンやベビーローションなどを使うこともできますし、病院で処方された保湿剤を使うこともできます。力をいれずに優しく塗っていきましょう。
スキンケアは1日2回、沐浴させたあとや服を着替えたあとに行います。顔から足の先までの全身に、保湿剤をしっとりするくらい塗っていきます。
やってはいけないNG行為
体を洗うときや、スキンケアをするときに力を入れるのはNGです。体を洗うときには、こすらずに優しくなでるように洗うことを意識してください。スキンケアの際にも、優しくマッサージするように保湿剤を塗ってあげましょう。
また、できてしまった湿疹を放置しておくのはNGです!放置しておくと、かゆみや痛みで睡眠が十分に取れず体調不良の原因となったり、肌をかきむしって傷つけてしまったりすることもあります。
まとめ
乳児期に一度はなると言われている乳児湿疹。ホルモンバランスの影響が大きいので、適切な対策を取ることで、ゆっくりではあるものの確実に治すことができます。「症状がちょっとひどい」と気になるときは、病院を受診することで低刺激なお薬を処方してもらえますので、早めの受診を心掛けるようにしましょう。