赤ちゃんの黄疸の原因は?正常な黄疸か問題がある黄疸かを判断するには
生まれて間もない赤ちゃんの皮膚が黄色く見えると、「黄疸(おうだん)なのでは?」と不安になるママ・パパもいるのではないでしょうか。実は赤ちゃんに黄疸の症状が発生するのは、よくあることです。今回は赤ちゃんに黄疸が起きる原因と、問題がある黄疸なのかどうかを判断する方法について解説します。
赤ちゃんに黄疸ができるのはなぜ?
黄疸とは、皮膚や白目部分が黄色味を帯びてくる症状のことです。赤ちゃんにできる黄疸は、新生児黄疸と呼ばれています。新生児黄疸は赤ちゃんによくみられるものであり、生理的黄疸であることが多いため、不安視しすぎず様子をみましょう。
生後2~3日頃からみられはじめ、生後4~5日頃にピークとなり、生後7日頃から自然と消えていきます。ただし、母乳を飲んでいる赤ちゃんは、黄疸の症状がこれより長く続くこともあります。
次に赤ちゃんに黄疸が起きるメカニズムを簡単に説明します。
黄疸によって赤ちゃんの肌や白目が黄色く見えるのは、血液中のビリルビンという成分が体の組織に沈着することが原因です。
人の体内では常に新しい血液がつくられ、古い血液が破壊されています。ビリルビンとは破壊された赤血球の成分のひとつで、通常は肝臓で処理されて体外に排出されるものです。
赤ちゃんは出生と同時に口呼吸に変わりますが、このときに酸素を運ぶ赤血球の入れ替えが起き、一時的にビリルビンの量が増加します。このビリルビンをすべて処理できれば問題ないのですが、赤ちゃんは消化器系が未熟なためビリルビンの処理をうまくできません。その結果、黄疸の症状があらわれやすくなります。
母乳を飲んでいる赤ちゃんが長引きやすいのは、母乳の中にビリルビンの代謝を遅らせる酵素が含まれているためです。これを母乳性黄疸と呼びます。ただし、良性の母乳性黄疸の場合、特に赤ちゃんへの害は無いため、健診時に医師の指導が無い限り、母乳育児を希望するママ・パパは安心して進めてください。
赤ちゃんの黄疸は問題ない?
赤ちゃんの生理的黄疸は特に問題ありません。しかし、黄疸が長引くようなら病的黄疸も考えられます。
ただし、病的黄疸と生理的黄疸は、症状が同じなので、赤ちゃんの黄疸が問題のない「生理的」なものなのか気を付けた方がよい「病的」なものなのか、判断するのが難しく思えるかもしれません。そこで、黄疸が生理的なものか病的なものかを判断するためのいくつかのポイントを紹介します。
まず、黄疸が出る時期や期間に注意をすることです。生理的黄疸は生後2~3日頃からみられ、1週間くらいで自然と消えるのに対し、病的黄疸は起きる時期が異なったり、症状がみられる期間が長かったりします。
病的黄疸には早発黄疸や遷延性黄疸などがあります。生理的黄疸にはない特徴として、早発黄疸では生後24時間以内と早い時期に現れる点が、遷延性黄疸では生後およそ2週間以降も持続して黄疸がみられる点があげられます。 (ただし母乳育児の場合、長期間の発症については、良性の母乳性黄疸の可能性もあるため、医師の判断に従いましょう。)
もうひとつの判断基準が血液中のビリルビン値です。一般的に、病的黄疸は生理的黄疸よりも血液中のビリルビン値が高いとされています。
血液中のビリルビン値が成熟児で12mg/dl、未熟児で15mg/dlを超える場合、またはビリルビン値の上昇が1日あたり5mg/dlを超えるようなら、病的黄疸の可能性が高いです。
自宅でビリルビン値の測定はできないものの、赤ちゃんの黄疸が起きた時期や期間に異変があれば、医師に相談するようおすすめします。
病的黄疸の治療法とは
病的黄疸と診断された場合、適切な治療が必要です。一般的には、軽度の黄疸には光線療法、重度の黄疸には交換輸血療法が行われますが、どの治療法を用いるかは症状や進行度などによって医師が判断します。
光線療法
新生児に光線を当てることでビリルビンを分解し、体外への排出を促す治療法です。早ければ治療開始から2~3日でビリルビン値が下がり、治療が完了することもあります。
交換輸血療法
重度の黄疸に対しては、赤ちゃんの体内のビリルビンを洗い流す目的で血液を入れ替える処置が必要となることがあります。交換輸血療法では、瀉血と同時に輸血を行うことで赤ちゃんの体内の全血を入れ替えます。
まとめ
生後2~3日の赤ちゃんに黄疸の症状がみられるのは珍しいことではありません。ほとんどの場合、血液中のビリルビン値が一時的に増えて排出処理が追いつかないための生理的黄疸なので、生後7日くらいで自然に消えていきます。
しかし、黄疸が現れるタイミングが早い、症状が継続している期間が長いといった場合は、病的黄疸の可能性もあります。病的黄疸については治療が必要なので、早めに医師に相談するのがおすすめです。